届いた感謝、通じ合った心
いつもと同じように、西高前交差点で「辻立ち」をする私。行き交う多くの北中生や小学生、高校生、出勤途中の大人の方と、いつも通りに挨拶を交わす、週初めの見慣れた光景。ただ、いつもと少し違っていたのは、台風が過ぎ去ったあとの、吸い込まれそうなほど久しぶりの青空です。
そこへ、自転車に乗った3年生の女子生徒2人組がやってきて、私の前でピタッとブレーキをかけました。
「先生、聞いてください!」
少し興奮気味に、顔を紅潮させて話しかけてくる彼女たちの表情を見て、私は一瞬、「何か悪いニュースでもあったのだろうか」と身構えてしまいました。しかし、それは全くの杞憂でした。
「違うんです。すっごく嬉しい話なんです!」
彼女たちが弾んだ声で教えてくれたのは、ある地域の見守り隊の方との物語でした。毎朝、黄色い旗を持って、子どもたちの安全のためにじっと交差点に立ち続けてくださる地域の方がいるそうです。きっと、行き交う車や通学路の危険に全神経を集中させておられたり、少し照れくさかったりしたのでしょう。彼女たちは中学生になってからの2年余り、その方の前を通るたびに「おはようございます!」と声を掛けてきました。これまでは、真剣な眼差しで見守るその方に、自分たちの声が届いているのかな、と思う日もあったといいます。
「でも、今日は違ったんです。初めて、あちらから『おはよう、気をつけてね』って、挨拶を返してくれたんです!」
何とも嬉しそうに、目をキラキラと輝かせて報告してくれる姿に、私は胸が熱くなりました。言葉のやり取りこそなくても、これまでずっと静かに子どもたちを守り続けてくださっていた大人と、感謝を伝え続けてきた中学生。2年という歳月をかけて、互いの存在と温かい思いが、最高の形でカチッとつながった瞬間でした。相手の気持ちに寄り添えたこと、そして自分たちのピュアな思いが相手に伝わったことが、彼女たちにとってはたまらなく嬉しかったのでしょう。
お喋りを終えてペダルを漕ぎ出していく彼女たちの後ろ姿を見送りながら、辻立ちをしていた私まで、幸せな気持ちに包まれていきました。大人が見過ごしてしまいそうな、日々の生活の中のほんの小さな出来事。けれど、その中にきらめくような価値を見出し、人と人との心の関わりをこんなにも大切にできる中学生がすぐ身近にいる。それこそが、教員として、何よりの誇りであり幸せです。
台風が去った後の青空よりもずっと爽やかで、心に虹が架かるような、月曜日の朝のうれしいハプニングでした。あまりにも突然の、そして素敵な心の交流だったため、本日の北中日記には写真がありません。彼女たちの弾けるような笑顔と美しい青空を、皆様の心の中で想像していただければ幸いです。